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「早川さん……?」
私を庇うように背中に隠して、勝手に男性社員を追っ払ってしまう。
そんな事しなくても自分で断れたのに……なのに、胸の奥からどうしようもない感情が湧き上がってくる気がする。
「俺からの連絡は無視しといて、みぃはあの男と飲みに行くつもりだった?」
私の勤めている会社で、そんな呼び方をしないでよ!早川さんはここの会社でも人気があるし、周りの女子社員に誤解されたらたまらないわ。
「ちょっとついて来てください!」
早川さんの袖を引っ張って無理矢理資料室へ。早川さんが後ろから「おい、みぃ!」とか声をかけてくるから、変な噂にならなきゃいいけど。
「どうしてですか……?」
「さっき邪魔したこと?そんなん……嫌だから、だろ?」
当然のことのように早川さんは言うけれど、私にはまだ信じられない。早川さんは私を期待させるような言葉はくれるけれど、特別な言葉は私にくれない。
私の気持ちを宙ぶらりんにしたまま、思わせぶりな言動ばかり。
「どうして……嫌なんですか?」
「みぃは言葉ばかり欲しがらず、自分で考えろ。」
ほら、またそうなんでしょ?私が気になっている事はいつもはぐらかして……そのくせ私の事を放っておいてくれない。
「私の自惚れだったら、恥ずかしいじゃないですか。」
「みぃを自惚れさせるためにやっているんだから、問題ないだろ。」
早川さんは狡い、私が何を欲しがっているのか分かってるくせに……
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