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「何度でも言ってやる。みぃはすぐに俺の言葉を無かった事にするからな。」
こんな時にそんな真面目な顔しないで、冗談だって笑ってよ。
このままじゃ、私の心の中で早川さんの存在が今までと違う意味で大きくなりそうで怖いの。
だって早川さんは私にとって……
「分かったから……ちゃんと会うから、これからは会社まで来たりしないで。」
これ以上何か言われたら、冷静でいられる自信がない。今までどんな人に何を言われたって平気だったのに、どうして彼の言葉にはこんなに心が揺らぐのだろう?
「みぃがちゃんと俺と会ってくれるのなら、約束する。」
そう言ってまた笑うのね、昔はそんな言葉言ってもくれなかったのに。
あの頃はいつも私の一方通行だったわ、年の離れたお隣のお兄ちゃんに……
「……みぃ?」
「ごめんなさい、何でもないの。いつまでもここにいる訳にもいかないし、場所を変えましょう?」
就業時間も過ぎていつまでも資料室にいる訳にもいかず、2人で飲みに行くことにした。
洒落た店にしようかと言われたけれど、私は近くの賑やかな居酒屋にして欲しいと頼んだ。もしも2人きりで……そういう場所で甘い雰囲気になったら、私はもう早川さんを拒絶できない気がしたから。
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