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「みぃと二人連れて行くなら、もっと雰囲気の良い店があったのに。」
そうブツブツ言いながらも貴方のそのビールは何杯目よ?
早川さんはお酒の強さには自信があるらしく、次から次へと美味しそうにジョッキを開けていく。
「酔いつぶれたら置いていきますよ?私は酔っぱらいの面倒なんて見る気ないですから。」
自分の用のカシスオレンジのグラスはまだ半分しか減ってない。飲みに行くのは好きだけれど、私はあまりお酒に強くないから。
「本当にみぃはいい女になったな。マジで焦る……」
「そんなこと知りませんよ、勝手に焦っていてください。」
前も同じような事を言っていたけれど、本当に彼はそう思ってくれているのだろうか?早川さんは昔の様に私の事を【ブス】だとは一度も言ってない。
「みぃ、頼むから俺の……」
「あー!早川さんじゃん、うちらの誘いを断ったくせに……他の女子と一緒とか狡い!」
一応区切られているとはいえ、外からも見える仕組みになっているテーブル席。どうやら早川さんの会社の女子社員に見つかったようね。
「なんだ、いま大事な話をしてたんだから邪魔するなよ。」
「えーやだぁ。ねえ早川さん、うちらもここに座っていい?」
多分私の存在が邪魔なのでしょうね。
女の子二人が早川さんの腕に手を回して、親密そうな様子を見せつけてくる。ふうん、女の子に好意を持たれてデレデレしちゃって……
「私、先に帰らせてもらってもいいですか?」
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