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私が今いる場所は、早川さんのお部屋のバスルーム。
「一緒にシャワーを浴びる」とうるさかった早川さんを何とかリビングに押し返して、丁寧に自分の体を洗っている。
「本当に何なのかしらね、あの人は。」
早川さんに関わってから、私はずっと振り回されてばかり。私達の関係は結局根本的な所は変わっていないのかもしれない。
子供の頃も、今も……結局は早川さんの思い通りになってしまってる。
「あの人が女の子だったらきっと小悪魔タイプだわ。」
普段は自分がそう言われるけれど、早川さんの方がよっぽど似合っている言葉だと思う。周りの人を惹きつけて、そして振り回して。
納得するまで体と髪を洗って、浴室を出る。もしかしたら私は、早川さんに触れられるのを期待しているのかもしれない。
脅迫されて嫌々結んだ関係のはずなのに、ネクタイで手首を縛られたりもしたのに……彼と抱き合う事は嫌ではないの。
綺麗に髪を乾かしてから、バスルームから早川さんのいるリビングへ。素顔を晒す事にはまだ抵抗があるけれど早川さんはそんな私をもうブスとは言わなくなったから。
「……まだ飲んでいるの?」
リビングにはまたビールの缶を持っている早川さん。いくらなんでも飲みすぎじゃないの?体壊したって、私は知らないんだからね。
「ん、これで終わり。さて俺もシャワー浴びてくる、みぃはゆっくりしていろ。」
早川さんはビールの缶を捨てて、そのままバスルームへ。私は緊張からか用意してあったグラスの水を一気飲みする。
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