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「もしかして、今夜は緊張してる?」
ベッドの上、早川さんから簡単に押し倒されて肩に顔を埋められる。耳元で喋らないでよ、くすぐったくて私苦手なの。
止めさせようと彼の胸を押すけれどビクともしなくて、私はくすぐったさから首を竦めるしかない。
「こら、キスマークつけにくいだろ?前のは消えてるんだからちゃんと付けとかないと。」
「そんなの付けていいなんて言ってないし……!」
そんな当然のことのように言わないでよ、私は貴方の特別な存在ではないのでしょう。それとも……もしかして、こういう時に都合のいい女なだけじゃなかったりするの?
チクリとした痛みを伴って、また首筋や鎖骨に何個も早川さんから痕を残される。
「隠す方の身にもなってよ。毎朝面倒なのよ?」
「隠したら虫よけにならないだろうが?みぃには余計な虫がすぐ寄ってくるんだから。」
余計な虫って……今日飲みに誘ってくれた男性社員の事?
私にとって他の男性社員と飲みに行くことはそんなに珍しくない。甘えるのの得意な私は男性社員から誘われることも少なくなかったから。
「まさか、妬いているの?私達はそんな感情を持った関係じゃないでしょ?」
「本当に……みぃは鈍感娘だ。お仕置きが必要だな。」
ムスッとした表情で、私を見下していた早川さんだけれど、何か良い事を思いついたかのような表情をする。それが私にとって良い事とはとても思えないのだけれど……
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