序章

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「恐れながら申し上げます。天都国に滅びの予兆が現れるとの神託がございました」 天都国に滅びが訪れる時、神宝(かんだから)と天に抗う者達が目覚める。 歴代の神官達が語り継いできた古めかしい伝説。 神や伝説といった形のない曖昧なものに惑わされるのは、王の最も嫌うところだ。 だが、もしも本当に国に滅びをもたらすのだとしたら、このまま手をこまねいているわけにもいかない。 「お主、以前神宝のうち一つは何か明らかになったと申しておったな」 「はっ。(さき)の王の御代、神官の一人が神宝“五色(ごしき)勾玉(まがたま)”を王宮から盗み出し姿を消したとの記録が」 「して、居場所は?」 「影を使い突き止めております」 影とは、文字通り王宮の影の役割を担う一族だ 古くから諜報、暗殺等々ありとあらゆる汚れ仕事を遂行してきた彼らが既に神官の命を受けていると知り、王の決断は早まった。 「ならば話が早い。影に命じ神宝を取り戻せ。いかなる手段を使ってもかまわぬ。滅びの訪れを決して許すな!」 「御意!」
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