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「ねえ、その人達だあれ?」
「この娘さんの具合が悪くてな。休ませてやりたいから静かにしてろ」
素直に引き下がった子供達にもう寝ろ、と手を振った青年は、日継に声をかける。
「寝床に案内してやるからついてこい」
「あの子達は?」
「ああ、あいつらはみなし子だ。放ってたら死んじまうから連れてきた」
日継はささやかな疑問を口にした。
「神の宮に頼らなかったのか?」
神の宮は天都国各地に存在する神官達の住まいだ。
特に霊力が強い者だけが集められる王都の神の宮以外は、民が祈りを捧げる場であると共に、身寄りのない者を受け入れる場でもある事が多い。
「頼ろうにも神の宮自体がねえんだよ。王の命に従わなかったとかで壊されちまったらしい」
「知らぬ事とはいえ、愚問だったな。申し訳ない」
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