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今は輝きを失っている五色の勾玉を懐から出し、日継は掌にのせて二人に見せた。
「これは五色の勾玉。神代の昔、神々がその力を使い滅びの神を討ったという神宝の一つだ。華月が勾玉を輝かせた夜、何者かに襲われ俺達は家と育ての父を失った」
荒唐無稽な話にも関わらず、銀も蘇芳も真剣に聞いてくれている。その事が何より有難い。
「父は最後に、天に抗う者を探せ、この勾玉が導いてくれる、と俺に言い遺したんだ」
ここで初めて、銀が言葉を発した。
「導きねぇ……あ、あのキィーンてやつか!?」
「銀殿と戦った時、俺の耳元でも鋭い音が響いた」
「勾玉と銀が近づいた事で共鳴した、で日継さんはそれに巻き込まれたとか?」
蘇芳の言葉に日継は頷く。
「おそらくは。その直後この白の勾玉が眩い光を放ったんだ」
「それで銀が天に抗う者だと思ったのか」
「ああ。倒れる前に華月が銀殿にかけた言葉で確証を得た」
「何て言ったんだ?」
「天に抗う者、汝、南の地で白虎の力を得るであろう」
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