白の章

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蘇芳は大きなため息をついてから言った。 「まあ、お前が後先考えないのは今に始まったことじゃないしな。任されてやるよ。……日継さん、ちょっと阿呆だが腕は立つぜ。旅の連れにどうだい?」 「ちょっと阿呆とか失礼じゃね?」 「本当の事だから仕方ないだろ」 蘇芳の言う通り、腕の立つ銀が旅に同行してくれるのは大変心強い。 日継は二人に頭を下げた後、銀に右手を差し出した。 「銀殿、これからよろしく頼む」 日継の手を握り返した銀は、ニカッと笑った。 「気恥ずかしいから呼び捨てにしてくれ。……よろしくな、日継」 翌朝、日継と華月、そして銀は蘇芳を始めとする盗賊達に別れを告げ旅立った。 目指すは南の地、天都国南部の都、南都(なんと)である。
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