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その頃、天都国の王宮では、神官長が王の前に平伏していた。
「申し開きがあれば聞こう」
王の指は不機嫌そうに玉座のひじ掛けを叩いている。
神官長はただただ頭を下げる他なかった。
「いいえ、勾玉の回収に失敗した事については申し開きのしようもございません」
影を使い、五色の勾玉を盗み出した元神官の住まいを急襲したが、勾玉は何者かに持ち去られた後だった。
口を割らせようにも、元神官は影の目の前で自害しており、勾玉の行方は掴めていない。
「しかし、神官総出で書物を紐解く中で判明した事もございます。勾玉そのものに力はなく、天に抗う者達が天都国各地に眠る神々の力を手に入れる鍵となるようです」
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