序章

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日継が異様な光景を前にして言葉を失ったのに対し、崇めるような目をした父は呟いた。 「目覚めたのか?五色(ごしき)の勾玉が……」 五色の勾玉。 小さな頃から父が寝物語に語ってくれた神代の伝説に出てくる神宝(かんだから)の名。 その力をもって滅びの神を討ち果たしたとされる神宝の一つが、何故目の前に現れたのか。 日継が父に問おうとした瞬間、突如火矢が彼らの家を襲ってきた。 同時に勾玉も光を失い、華月の身体がぐらりと傾く。 意識のない華月を抱き止めた日継に、父は言った。 「時間がない。日継、華月を連れて逃げろ。来たるべき日のために、天に抗う者達を探せ。この勾玉が導いてくれる」
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