陽の章

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「やっぱりここの空気は清浄で癒されるわね」 「身重の妃が神の宮にいていいのか?」 呆れたような表情でそう訊ねたのは、若き日の養父(ちち)だった。 神官服に身を包んでいるため与える印象は異なるが、面差しは日継がよく知る養父のものだ。 「王にも神官長にもお許しはいただいているから大丈夫よ。この子も喜ぶしね」 そう言って微笑んだ女性は、愛おしそうに大きなお腹を撫でる。 「優れた霊力(ちから)を持つ巫女である君が王の第二妃になった時も驚いたが、もうすぐ母になるというのも驚きだな」 「ふふ、今だから話せるけど、妃になったのは神託があったからなのよ。私は天都国の未来を護るため日を継ぐ者を産むさだめにあると」 その言葉に日継はどきりとした。 優しげな佇まい。神秘的な藍色の瞳。 この女性が、自分の母なのか。 「無事に産まれたらこの子をあなたに守って欲しい。私は傍にいてやれないかも知れないから」 不穏な言葉に、養父は眉根を寄せた。 「まさか・・・何かのか?」 母は穏やかな笑顔を浮かべて言った。 「万が一、の話よ。約束してくれる?」 「ああ、約束する」
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