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(いのりちゃんが私を避けるようになった理由は……私がまもりさんの店へ近寄らなくなったのと、同じ?)
いのりちゃんの本音を聞いてから、すでに数日が経っていた。
梅雨も終盤に差し掛かり、教室の窓から差す陽射しも厳しくなってきた。
もうじき夏休みがやってくる。
いのりちゃんとはあれから一度も顔を合わせていない。
そしてまもりさんの店にも、まったく顔を出していない。
(私……どうしたらいいんだろう)
私は頭を抱えていた。
何か行動を起こそうとすると、すべてが悪い方向へ行ってしまうような気がしてしまう。
いのりちゃんは私と一緒にいると、いつか私が死ぬかもしれないと言った。
それは心配が過ぎるような気もするけれど、彼女の心を苦しめている原因であることは確かだった。
あれだけ彼女が過剰に心配するのは、もしかすると――消えてしまった記憶の断片が、心の中に少しだけ残っているからなのかもしれない。
二ヶ月前、海で溺れたときのこと。
自分の身代わりに、まもりさんが死んでしまったこと。
そのこと自体を忘れても、心に負った傷だけはどこかに残っているのかもしれない。
まもりさんが、忘れてしまった誰かを待つのと同じように。
いのりちゃんもまた、忘れてしまった不安に押しつぶされそうになっているのかもしれない。
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