8人が本棚に入れています
本棚に追加
夜
夜。
帰ってきた夫を出迎える。お盆の帰省の話をしようと思ったのに。夫は、心配そうに尋ねる。
「あゆみ。顔色が悪いけど、大丈夫かい?」
「平気よ……」
そう答えたけれど。夏の暑さのせいかしら。最近、体がだるい。
「暑いから、素麺にしたの。あなた、好きでしょう?」
食事の準備をしようと、玄関から台所へ向かう途中、ぐらりと視界が揺れた。
「大丈夫か? しっかり! あゆみ!!」
薄れゆく意識の中で、ふと思う。あの人が倒れた時も、こんな風だったなと。
最初のコメントを投稿しよう!