恒例行事

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恒例行事

お盆が楽しみなんて、不謹慎かしら? 子どもの居ないわたしにとって、それは恒例行事のようなもの。 今年も彼の気配を感じるためだけに、風鈴を飾りつけ、蚊取り線香に火を灯す。 今の夫は、線香の匂いが嫌いだ。だから嫌がる夫に、わたしは言うの。 「あなたがタバコを辞めてくれたら、わたしも蚊取り線香をつけないわ」と。 だけど、今年は特別。亡き夫の七回忌と、舅の初盆が重なってしまった。部屋の中は、一日中、お線香の香りが漂う。 今年も、タンスの引き出しから写真立てを取り出して、仏壇に備える。舅の遺影に、隠れるように。亡き夫は、写真の中、満面の笑みを浮かべたままだ。 「七回忌で、終わりにしましょう?」 そう、義理の姉に言われた時。ほんの少しだけ、寂しさを感じた。 早くに両親を亡くし、人との縁に恵まれなかったせいかしら。わたしにとって別れとは、辛く悲しいだけのものだった。
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