えっ?君はだれ?

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えっ?君はだれ?

「のーぞむっ! おはよう!」  下駄箱で自分の上履きサンダルを取り出した瞬間、後ろから腕を回され首に絡みつかれた。コイツは、雅人だ。 「ゴホッ、ま、まさと! 腕っ!」  無理矢理腕を引き剥がし、顔を見る。やっぱり……。 「雅人、俺の首絞める気か?」  靴をしまってサンダルを引っ掛ける。雅人は上機嫌だ。 「そんな事しないよー! 一緒に行こうぜ? な、宿題終わった?」  俺の肩を抱くようにして歩き出す。ほんと、うちのクラスの男子はこんな奴ばっかり。俺は女じゃないっつうの。いくら背が低くても……。 『はあっ。あと5センチは欲しいな。』  隣の雅人との身長差を呪いながら、俺はため息をついた。雅人はバイトがどうの、宿題はどうのと、どうでも良い夏休みの思い出を喋り続けている。ここ最近伸びが悪い。まさか、166で止まるなんて事はないよな? 『……!?……。』  後ろから視線を感じて振り返る。誰もいない。他のクラスの奴らが登校してくるいつもの光景だ。 「ん? どうかした?」  雅人も俺と同じように後ろを振り向いた。 「い、いや、何でもない……。」  前を向いて歩き出す。2階にある俺たちの教室へ向かうために、階段を登り始めた。 「おはよう。」  いつもの光景。半分くらいの生徒がもう既に席に座っていた。黒板に出席番号順に座れと殴り書きがしてある。俺は11番。廊下側から数えて2列目の後ろから2番目。雅人も俺からようやく離れて自分の席に歩いていった。俺は、カバンを置くと、トイレに行くために教室を出た。 「あと15分かあ。」  トイレから出てスマホで時間を確認すると、HRまであと15分ある。なんだかダルイ。今日は3時間で終わるのだけが救いだ。帰ったら、ゲームでもして……。開けっぱなしの教室のドアをくぐりぬけ、自分の席に行こうとして違和感に気づいた。 『……?……。』  誰だ? 俺の席の後ろに、背の高い男が足を投げ出すようにして座ってる。あれっ? こんな奴いたか? 転校生?  恐る恐る自分の席に近づいて椅子を後ろに引く。コイツから目が離せない。片手でスマホを操作してたソイツが目を上げてニヤッと笑った。 「おはよ。望。」  いやいや、おはよ、じゃないって……本当に。投げ出された脚の長さを見ても、180は超えてるだろうことが分かる。少し長めの黒髪が目の当たりまで下りてきてるが、視力は大丈夫? メガネが必要なのはそのためですか?  黒縁メガネのソイツは、俺の顔をじっと見つめてから口を開いた。 「どうした? 望。座らないのか?」 「いや……座るけど。」  俺は、とりあえず席に座って前を向いた。あれ、思い出せないぞ? 俺が11番佐々川で、俺の後ろは……視線を左右に動かす。3列目の1番前に佐藤が座っていた。佐藤里緒奈、12番だっ! 俺は咄嗟に振り向くと、その男に話しかけていた。 「な、君、転校生? 名前はなんて言うの?」
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