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私の曖昧な想いをくっきりと象ったのは、彼の絵を見た時だった。
なんて事ない海の絵。
ミッドナイトブルー、青よりもより青い海の、重ねた色の深さから音楽が聴こえたーーーなんて、聞くと残暑で頭が沸いちゃったの、って、言われるかもしれない。でも、それでも、絵から作曲のインスピレーションを貰ったのは事実だった。
他校の文化祭、周りの少し派手な友達に合わせて、制服を着崩して参加するのは、乗り気じゃなかった。自信がないのに、スクールカーストの上位を気取っている自分にも、少し疲れていた。正直、軽音部の活動があるとかなんとかでっちあげでもして、行くのはやめようかな、と思ったりした。
でも、もう一人の小心者の私がそれを止めた。嘘がバレたら、残りの高校生活の半年を1人で過ごす事になっちゃうよ? と。そして、トイレ、と言いつつ彼女たちから少し距離を取って、迷い込んだ展示室。
いい加減、みんなと合流しなきゃーーーと、ため息をついた所で、絵に足止めを食らった。その絵は、私の躊躇いや憂鬱を一瞬にして吹き飛ばしてしまった。
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