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血のつながりよりも大事なもの
「ちょっと、見せてみて」
おばあさんは、私の戸籍謄本を半ば強引に奪っていった。
「ちょ、やめ……」
「……お父さん、分からないんだね」
おばあさんは、口をへの字に曲げていた。
「え、ええ。でも、私にとっては飯田丈二以外の父は考えられなくて」
「ご両親は、本当の子供の様にかわいがってくれたんだね」
「はい。だから、なぜか。裏切られたような気がして。何で、教えてくれなかったのかなって」
私は、26年間、養父母が実の両親のように接してくれていたことが、逆に恨めしく思えていた。
「そう。でもね、血のつながりよりも、もっと大事なものがあるんじゃないかねえ」
「血のつながりより、大事なもの?」
私には、ピンとこなかった。
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