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だけど今は
「もう、５０年も前のことだから、とっくに時効だけどね。うまくやったと思ったわ」
ゴクリ。私は唾を飲んだ。
「その当時、付き合っていた男と二人で、事故に見せ掛けて殺したのよ。そいつは、今、私と一緒に呑気に年金生活。勝ち組っていうのかしらね」
私は、目の前の優し気な老婆が、両親殺しの完全犯罪者だということを知って、震えが止まらなかった。
「でも、良かったわね。あなたのお父さん、分からなくて。お母さんも、どこにいるか分からないんでしょ？ しかも、養父母が優しかったなんて。気にする必要ないじゃない。あははははは！」
静かな市役所に、老婆の笑い声が響いた。
～終わり～
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