九月 ラブホテル

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九月 ラブホテル

「ん、んうっ、ん、ん、ぅあっ」  激しく打ち付ける体に答えるように、あたしも腰をくねらせる。騎乗位。一番気持ちイイところに当たる体位。支配しているかのような気持ちにもなれる。あたしが一番好きな格好。  わざとらしいくらいが丁度良い。女の喘ぎ声は男を獣に戻らせる。腰が激しく動く。話さないと両足でがっちりとホールドしてあたしが好きなように動くと下で声が裏返った。 「あー、いい、やばい、いいよ、やばい、出そう」  さっきからあたしの下でいいよとやばいを繰り返している男は五人目のセフレ。所謂セックスフレンド。体だけのオトモダチだ。名前は確か、トモヤだったはず。 「まだ、だめ」  上体を倒してもっともっと密着。腰だけじゃなくて上半身もホールドする。ちろちろと耳を舐めるとトモヤが悲鳴をあげる。激しくなる腰の動き。あたしも絶頂が近い。けれど、まだまだ楽しみたい。もっともっと欲しい。子宮の底からわき上がってくる快感は計り知れない。 「むり、出る、出るっ」  トモヤが泣きそうな声であたしの顔を両手で包む。弱虫。心の中で唾を吐くと情欲は潮を引いたようにどこかへ過ぎ去ってしまった。 「いいよ」  あたしが耳元で囁く。ロボットに命令しているみたい。あたしの声と共にトモヤはびくんびくんと魚みたいに腰を飛び跳ねさせて深い吐息をついた。
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