九月 自宅

2/13
前へ
/30ページ
次へ
「ごめんごめん。ちょっと近くまで来てたから」  顔見ようと思って。まぁ、ぬけぬけとそんな嘘を。 「ヤりたいだけでしょ」 「まぁ、することはするけど」  いつまでも突っ立ってるあたしを無理矢理ソファに座らせて肩をしっかり抱き寄せられる。あたし、疲れてるんだけど。 「夜になったらする。まだ夕方だし、メシでも行こうよ」 「お腹減ってない」 「じゃあコンビニで適当に買ってこようか?」 「奢ってくれるなら」  テレビに映っているのは野球中継。あたしはルールがさっぱりわからない。一体何が面白いんだろう。自分が出来ないスポーツを観戦して盛り上げる人の気持ちが理解できなかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加