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九月 カフェテラス
「……で、フッたと」
「当たり前じゃん。体は好きだけど中身は全然好きじゃない」
「あのさぁ、流石に分かるけどもう、うちら23じゃん? そろそろ結婚とか考えたらさぁ……」
「でもハルコはセフレと付き合いたい? 彼女持ちの、めんどくさい男とさ」
「そりゃ人によるけど! ……でも体の相性は良いわけじゃん」
場面は変わってカフェテラス。健康的な太陽の光が差し込んでくる。暑くもなく寒くもない九月の中旬。夏の感じを残しながらもオータムスタイルがちょこちょこ増えてきた店内で、ずずずっとカフェモカを啜るハルコ。綺麗に染められた栗色のショートボブ。ちょっと垂れ目の狸顔がチャームポイント。低身長で、ふわふわのスカートがよく似合う女子から嫌われそうな女だった。けれど、あたしは好き。
「職場の人と付き合いたいとは思っても、全然タイプもいないしなぁ」
「でもいるんでしょ、オトモダチは」
「いるけどぉ、ほとんど既婚者だし」
あたしとハルコは所謂そういう友達だ。セフレ肯定派、下ネタ大好き、ちょっと尻軽。そんな共通点で結ばれあった戦友。
友達になったきっかけはよく行くラブホの反対側のラブホから毎度違う男と腕を組んで出てくるのを何度も目撃したから。そういう気分で後ろから声を掛けたら警察を呼ばれかけた。
でも、今は仲良し。なんとも奇怪。けれど、これも運命だ。
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