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九月。秋の入り口だというのに今年はまだまだ暑い。それでも伊織先生のスタジオはスタッフに気を遣って冷房もきっちり効かすしスポーツドリンクは常備するし、塩やアイスノンもきっちり用意している。何気に理不尽に感じることの伊織先生だけど、スタッフへの健康への気遣いは人並み以上だ。そんな環境なものだから、にょたチョコ男子モデルたちも特別な理由がない限りは撮影に参加するし、俺みたいな学生にょたチョコ男子は特に用もなくても入り浸ってしまう。伊織先生のスタジオ、居心地いいんだよ。
今日は撮影がある訳じゃないのだけど、げたんわくんや束砂さんと用もなくスタジオに来て、お茶をしているテーブルに伊織先生が満面の笑みで近付いてきた。
撮影がない日は伊織先生が写真の加工とかしているのだけど、そういうときに必要なスタッフはほとんどいない。でもスタジオには常に誰かいる。
「先生ね、素敵なイベント思いついたのー!!」
伊織先生は出来た上司だが、普段はちょっとウザい感じなので俺たちは身構える。
「秋といったら食欲の秋、読書の秋、芸術の秋とかあるけど、先生ね、今年はスポーツの秋だと思うの!てか、にょたチョコ男子が短パンで太ももを出して体操着を着て、額に汗して、体に汗して、体操着が透けちゃって見えちゃう下着、先生見たいの!!」
素直なことはいいことだが、へんたいさんの素直は正直に痛い。そして伊織先生が口にしたイベントは中止になることはまずない。それは権力というやつなのだろうが、実績があるだけに厄介だ。
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