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生徒
4月1日。
例年より早く桜が散ってしまったこの日に俺の高校生活が始まった。
俺の高校生活最初の授業は数学だった。
深緑の黒板に運ばれる白色のチョークの文字。
それを優しく握る細くも美しく俺の目を魅了する男の手。
少し目にかかる位の漆黒の髪の毛。
そこから見える切れ長の目。
それらがすべて美しく俺の心に突き刺さる。
たぶん、ヒトメボレ、だった。
だからなのか俺は季節が変わるたびこの4月1日を思い出す。
俺のクラスカーストはそれほど高いわけではない。
それ故、俺は先生に名前だけでも覚えて欲しくて数学の授業はいつも以上に真剣だった。
もちろん先生の授業の教え方がとても上手で引き込まれている。というのも事実だ。
何もできないまま1年が過ぎた。
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