喪失感

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変わらない毎日が続く筈だったそれが唐突に終わりを迎えたのは康介に久々に呼ばれ飲みに行ったその日だった。 「やっほー!晴人げんきー?」 いつ見ても悪友の康介は変らず元気で、あの頃と違うのは俺との距離位か。俺の全てを知りたがっていたこいつは今俺の事なんてほとんど知らない。 「なんでこんな大勢なんだよ」 「だって同窓会って言ったら晴人こないじゃん」 「にしても、それなりの格好してこいくらいあるだろ」 よれたスーツは会社帰りのせい。あの会社作業服のくせに行き帰りはスーツ着てこいって意味わかんねぇ規則があんだよな。 「大丈夫。俺の晴人は何着ててもかっこいいから」 「あーまた康介晴人独り占めしてるー」 「この年になっても晴人べったりかよ」 そんなことはない。康介に会うのは半年ぶり位だ。 それに、俺を取り合ってるようにみせて康介と話がしたいだけだろ。めんどくさい。 今じゃ康介はアパレル会社の社長だからな。 媚売るんだったらもう少しうまくやれ。 とヘキヘキした気持ちでグルリと会場を見渡す。 「あ」 思わず出した声はほぼ反対側にいるあいつには聞こえるはずないのに目が合った。 なんで、 どのくらいあいつと見つめ合ってたのか。 無意識に息をとめていたらしい。スッと向こうの方からそらされた視線に酸素が一気に肺に入ってきた
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