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そして、連絡先へ…
心底驚いた。そして腹だたしくもなった。このコンテストの審査日まであと7日しかないじゃないか!
そもそも僕は自分を唯一無二の創造主だと思って、ずっとこの惑星を丁寧に造ってきたんだから。こんなコンテストなんて聞いてない。僕は憤慨しながら書面に記載されていた連絡先に連絡をした。
「はい。こちら創作惑星コンテスト事務局です。」
「あ、あの、今日書面が届いたんですけどこれって…?」
「何か分かりづらい点がありましたでしょうか」
「いや、あの、分かりづらいというかこのコンテストって一体何ですか?」
「それでは改めてご説明させていただきます。今回その案内状を受け取った新人創造主の皆様は、宇宙空間の様々な場所で各々独自性を活かした惑星を創りあげていただいております。そして出来上がった惑星に対して既存の創造主たちが審査を行い、順位をつけさせていただきます。その順位をもとに、惑星を宇宙に配置する場所を決めさせていただき、選外の惑星は大変残念ではございますが消滅させていただいております」
「あ、いや、そんなこと一切聞いてないんですけど!」
「大変申し上げにくいのですが、新人創造主の皆様には惑星創造の前に必ず主旨をお伝えしております。ただ長い年月の中で稀に主旨をお忘れになる方もいらっしゃるようです」
「あ、はあ…」
僕は形式上のお礼を伝えて話を切り上げた。
でも確かに不思議に思うことはあった。夜に瞬く星はいつからあったのか、無数に瞬く星々は誰が造ったのか…。
僕は泣いた。こんな残酷なコンテストがあるなんて。僕は何のために今まで必死に地球と名付けた惑星を大切に大切に育んできたのか。
僕の目から大量に涙が出てくる。止め処なく溢れ出てくる。
…気がついたら7日間くらい泣いていた。その間、地上は僕の涙の影響で至るところで豪雨、洪水、水没、とそれはもう目を覆うような惨状となってしまっていた。ああ、これはもはやコンテストどころの話ではない。
僕は…また、泣いた。
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