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小話集①学校で
思春期のオオカミは、我慢が出来ない。
「悠馬ぁ〜。頼むよ。ちょっとだけだから」
「なーにがちょっとだバカ!そう言って、この前止まれなかったのはどこのどいつだ!」
「だってしょうがねぇだろ?こんな密室で2人きりとか、興奮しない訳ねぇし」
夏休みが終わって学校が始まっても、晶はところ構わず発情して来る。
俺は今日、放送委員会の当番で、昼休みと掃除の時間は放送室に籠もる予定だった。その間は音楽を流したり、放送して欲しいお知らせがあれば原稿を受け取って、放送委員が読み上げたりするのだが……。
それを知った彼が、静かにしてるから一緒に着いて行くと駄々をこねたのだ。
放送室は基本、委員会以外は立入禁止になっている。だけど放送室の外にある放送中のランプを点けて鍵を閉めてしまえば、誰も入って来る人はいない。だから、中で何が行われようと部外者には分からないのだ。
原稿読みが終わり、昼休みの仕事はこれでおしまい。後はここで弁当を食べ、掃除の時間に音楽を流すので、それまで待機するのだ。
で、弁当を食べ終わったと思ったら、やっぱり晶がちょっかいをかけて来てこの様。
「なぁ、良いだろ?とりあえず掃除の時間まで暇だし、素股だけでも……」
後ろから抱き付かれて、その腕から逃げようとすればする程キツく抱き締められてしまう。
それでも俺が暴れるもんだから、最終手段とばかりに彼は俺の首筋をベロリと舐め上げるのだ。
「ひぅ!」
くすぐったいのが苦手と知りながらこんなイタズラをするので、コイツは質が悪い。
その策略にまんまと引っかかる俺も俺だが、仕方が無いだろう?晶と付き合うようになってから、彼のスキンシップはエスカレートしっぱなしなのだから。
「ほら、悠馬も硬くなってんじゃん。そろそろ素直になったらどーだ?」
「お、お前が触るからだろ!つか、こんなトコでシたくねぇし……なぁ、家帰ってからじゃダメか?お前がシて欲しい事、なんでもするから……」
こうなったら、ちょっと恥ずかしいがあざとくお願いするしかない。
後ろを振り返りながら上目遣いに頼めば、晶は一瞬動きを止めて俺の顔をジッと見つめる。多分、俺の頼みを叶えようとしてくれて己の欲望と戦ってる最中だから、俺はそれを見守る事に。
……ど、どうかな……逃げられそうか?
が、そう思ったのも束の間、晶は壁時計をチラリと見ては俺のズボンを脱がしに掛かるのだった。
「……悪ぃ、時間ねぇから考えるのは無しだ」
「はぁ?ちょっ、待って!」
「大丈夫。俺も勃ってっし、すぐ終わる。んで、1回で終わらせるから……帰ってからもシよう?」
「ば、バカぁ!そんなに出来るかぁ!」
そんな事を言ってる間にも、彼は素早く準備を済ませていく。
なんだか、どんどん晶の手際が良くなっていってるのは気のせいか。発情オオカミのせいでほぼ毎日エロい事をシていたから、コツを掴んでるのも納得なのだが。
結局、抵抗もお願いも虚しく、壁に手を着いた俺を晶はバックから攻め立てるのだった。
「……ぅわ……すげぇ気持ち良い……悠馬、どぉ?」
「う、動くな……っ、あ、ぁアっ、ん!」
「マジ、声もやらしぃ……可愛いなぁもぅ」
「んぁあ!は、げしぃ……!も、やだぁ!」
最初から激しく奥を突かれて、放送室の中に卑猥な水音が響く。
俺は必死に体勢を保ちながら、晶に与えられる快感に酔いしれていた。
……気持ち良い、けど……今それを口にしたら、1回じゃ終わらなくなってしまう。
俺はなるべく気持ちを抑えながら、後ろへと腰を突き出した。
「は、やく……ンっ!もうイって……!」
「ん……悠馬は?もうイく?」
「イ、く……から……ぁあっ!……ア!」
グッと腰を掴まれて、速いピストンで中を擦られる。晶の硬いそれが良いところを重点的に突いてくるので、俺の方が先に達してしまった。
「んんっ、ぁあア!」
「……悠馬?もうイった?」
「ん……イった……から……ア、もう抜いてぇ……」
「……………」
「……晶?」
返事をしない彼を振り向き、呼んでみる。と、晶は更に腰を押し付けて来て、俺はたまらず逃げようと抵抗した。
「ちょ、悠馬、逃げないで」
「や、やだ……っ、なに大きくしてんだよ!」
「だって、中……すげぇキュウキュウに締まって……マジで気持ち良い」
「はぁ?なに言って……!」
「ほら、また締まった」
「じ、実況すんな変態!早くお前もイけよ!」
コイツは本当に!相変わらず本心だだ漏れかよっ!
晶は俺の言葉に少しだけ不貞腐れるが、すぐにまた腰を動かしては俺の背中に抱き付いて来る。
「はっ、なに?悠馬ももう1回イきたい?」
「ち、違っ……ぁあア!」
「いーじゃん。一緒にイこう……んっ……俺ももう出るから」
「あぅ!アっ……そこばっか……だめぇ!」
まただ。また、晶は意地悪をするように俺の一番敏感なところを擦って来る。
俺はその気持ち良さに抗えなくて、また先にイってしまった。
「〜〜〜っ!」
キュウウウっと晶のそれを締め付けると、彼も達したのか、中で竿が脈動しているのが分かった。ゴムをしていたから良かったものの、こんな所で中出しなんてされたら俺はキレていたに違いない。
そのまま呼吸を整えていると、不意に晶が俺の顎を摘んで視線を誘導する。事後の甘い雰囲気に流されてキスをしようとしていたところで容赦無くチャイムが鳴り、俺は慌てて晶を突き放した。
「ばっ!ちょっと退け!」
「え?チュウは……」
「うるさい!昼休み終わったんだよ!放送の仕事があるからちょっと黙ってろ!」
急いでズボンを上げ、ベルトを締める。
俺は校内放送のスピーカーをオンにすると、昼休み終了と、掃除開始のアナウンスをしてから音楽を流し始めた。
とりあえず、放送はこれで大丈夫だとして……。
俺は晶を振り返り、ちょっとだけ機嫌が悪そうな彼を見てため息を吐く。キスのお預けがそんなに気に食わないのか、俺は「悪かったよ」と素直に謝った。
「……帰ったら、その……今日はいっぱいキスして良いから……拗ねんなバカ」
軽く拳を握り、彼の胸にトンっと当てる。
こうやって餌をぶらせげてから待てをさせないと、コイツは人目も気にせず盛ってくるのだ。だから今はこれで我慢させるしかない。
晶は変なとこで真面目だから、俺のその言葉に「分かった。我慢する」と言い、僅かに頬を染めながら乱れた服装を正していく。
それに安心した俺は、まさか家に帰ってからあんなに舐め回されるなんて、この時はこれっぽっちも想像していなかったのだった。
発情したオオカミは怖い。本当、性的に。
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