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おれとクロガネは、夜の山の中を走って走って走った。クロガネは強いが、足はおれよりだいぶ遅い。おれはクロガネより何里も先までいって、クロガネが息をきらせておいついてくるのを笑いながら待っていた。おいつくと、また全力で走ってクロガネをおいていく。そのうちクロガネはとうとうおこって、おいコハク、てめえ、ちょっとは大人をたてろよと言っておれのアタマをたたいた。たてるとは何だ? と言ったら、ソンケイして大事にするってことだよと言う。ではソンケイとは何だ? ときくと、もういい、アタマのわるいガキと話してたら日が暮れちまう。もう暮れているぞ、今はもう夜だぞといったら、バカやろ! んなことはどうだっていいんだ、とっとと走ってひとりでジゴクにでも行っちまえと怒鳴った。おれは笑って、ジゴクはいやだから先にサカモトまで行っていると言って、またずっとずっと先までかけていった。
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