睦月という名の愛しい人

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三月は俺とつまめるように、おせちを皿に並べてくれたり。残りのご馳走を冷蔵庫につめたり、ついでに冷蔵庫の整理をしていた。 しかし案の定しばらく経つと暇になってきたようだ。 「六月に年賀状が来てたよ。俺のとこには全然こない」 「大掃除はゴールデンウィークにする方が合理的なんだって」 「お餅食べる?」 「イクラ食べる?」 「お年玉いくつまで貰ってた?」 構ってもらいたいのか、色々話しかけてくる。 俺だっていつもなら、優しくしてあげるんだけど。今日はクイズを見てるのだ。集中したいのだ。 「ごめん俺、集中したいから」 普段なら言葉を選ぶのだけれど、今日はどかんとストレートに言ってしまった。 「あ、ごめん」 三月は明らかにしょげた。ヘソを曲げたと言うべきか。 俺を気遣って早めに帰ってきてくれたであろうに、今の言い方はちょっと酷かったかも。 「今日は1日クイズを見たかったんだ。お前が実家に行く時にちゃんと言えばよかった。俺の方がごめん」 これまたどストレートに謝る。 「今日はクイズ見るから」 「うん」 「ごめん」 自分の部屋でふて寝しようと思ったけど、結局俺もこたつに寝転がってテレビを見ていた。
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