睦月という名の愛しい人

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年明け、勤めている駅前のカルチャースクールに行くとすでに同僚の柏木さんと、所長が出勤していた。 「おはようございます」 所長はマイホームパパ(?)を絵に描いたような、ほのぼのとした男性。 柏木さんは才媛の誉高い、キリッとした俺より年下の女性である。 全国チェーンとは言え、小さな規模のこの支店には講師は3人しかいないから、気楽なものだ。 「今年もよろしくお願いします」 「よろしく」 「三月君はお正月何してた?」 「適当にのんびりしました。実家に帰ったり、おせち食べたり」 あとは恋人とやらしいことをしました。 「柏木さんは?」 「私は特に何もしなかったですね。イベントらしいことってあんまりしないんです」 六月と正反対だな。 六月は落ち着いた雰囲気の割に、子供みたいにイベント事が好き。 俺の誕生日は祝ってくれるし、バレンタインも何かしらプレゼントをくれる。年末は蕎麦を食べたがるし、クリスマスにはケンタッキーとケーキを食べた。 「僕はとにかくたくさん食べたね。年越し蕎麦、おせち、ケーキ、あとはケンタッキー」 所長はニコニコと報告してくれた。 「年末年始にケンタッキーですか?」
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