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「制服って職場がバレちゃうから、ちょっと大変そうですよね」
「そうだね作業服も」
「作業服姿って凛々しく見えますよね」
「安全靴もいいよね?」
所長と柏木さんのちょっとマニアックな話をよそに、俺の頭の中は別のことを考えていた。
あの近くの病院?
白っぽいユニフォームの女の人?
俺には会社の人とシェアしたと言っていたのに。どうして嘘をついたんだろう。
「どうしたの?」
所長の心配そうな声にも、しばらく気が付かないくらい俺はぼんやりしていた。
六月の知り合いで、あの近くの病院に勤めている人は1人しか知らない。
六月の前の恋人。
かのこさんだ。
六月は俺にとって同じ学校の1学年先輩にあたる。(年上の恋人。良い響き)
かのこさんは六月の更に1学年先輩。
つまり俺より2つ先輩。
かのこさんは真っ黒でサラサラな髪の、制服をきちんと着こなす優等生だった。美人だけど甘すぎない顔立ち。キリッとして、スッキリした三ツ矢サイダーのような雰囲気を持つ生徒会長。
六月とかのこさんが付き合ってることはみんな知っていた。
俺から見ても「お似合い」だった。
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