31人が本棚に入れています
本棚に追加
やがてドドドは地面に舞い降りた。光り輝いていた黄金の毛並みは、いつもの茶色に戻り、何事もなかったかのようにぐるりと牧場を駆けるとカグヤドリームの2022の隣で止まった。
『凄かったよ、お父さん!』
ドドドは驚いた様子で自分の息子を眺めていた。カグヤドリームの2022が屈託のない微笑みを自分に向けているからだろう。
ここは重要なのでもう一度言う。この生意気でおませなカグヤドリームの2022が、子供らしい屈託のない微笑みを浮かべることなど何度あるだろう。恐らく初めてのことだろうし、後にも先にもここだけとなる可能性もある。
この思わぬご褒美は、ドドド脳内の幸せ回路を全開にした。思わず脚を動かした時、ムギュという何やら柔らかいものを踏みつぶしていたが、細かいことなど気にせずに、幸せ回路は全開である。
カグヤドリームの2022は視線を下げた。
『お父さん、誰かの落とし物…踏んでるよ』
『なに…?』
幸せ回路は、一瞬にして閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!