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グランパ牧場には、様々な牝馬が生活しており、この仔馬が入った納屋だけでも15頭ほどの牝馬がいる。彼は迷うことなく歩みを進め、そのうちの1つに入った。
そこは名牝カグヤドリームの馬房である。
『ただいまー』
『今まで、どこに行ってたの?』
『お父さんと秘密の特訓』
そう言いながら近づく2022に、カグヤドリームはそっと鼻先を近づけた。
『また川に行っていたのね。水辺は危ないからやめなさい』
『大丈夫だよ。浮き輪はしたし、周囲に熊はいなかったし、人間の不審者もいなかったし、水温も低くなかったし、流れも穏やかだったし、足場に危険物もなかったし、危険な外来種もいなかったし、北海道はここ数日雨も降ってないし…』
カグヤドリームは何とも言えない顔をしていた。今日こそ息子を窘めようとしたら、強烈な反撃を8発も受けたようなものだろう。
さらに2022はこう言った。
『何なら今度、お母さんも泳ぐ?』
カグヤドリームは目を背けた。どうやら泳ぎは苦手らしい。
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