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数時間後、カグヤドリームの2022はカメラの前でじっとしていた。
その栗色の馬体には、額から顔の中央部分まで伸びる白斑があり、4本の脚は膝から下が真っ白な毛で覆われている。
「四白は4勝して怪我もなし…縁起がいいね!」
『でも、イギリスに生まれたら見知らぬ誰かに売り飛ばされてましたよ』
カグヤドリームの2022がそう言ったが、カメラマンには嘶いているようにしか聞こえなかったようだ。
「ところで会長、この仔の名前…何て言うんです?」
そう尋ねられると、カグヤドリームやドドドの馬主であるグランパオーナー柿崎は困った顔をした。
「それが、まだ社内で揉めてるんですよ」
「まあ、ドドドとカグヤドリームの子供ですからね。候補くらいは絞れたんでしょ?」
グランパオーナーは頷いた。
「チャイロイアイツか、バクアツエロマンガか、ワレセンベイまで絞れていたのですが…今朝になってツバメが、グランパマルタオルと、カゴヤジュニアと、サイレンスヤローを追加したので、揉めに揉めてしまいまして…」
直後に若い女性の声が響いた。
「だーかーーらーーー! グランパアルタイルと、カグヤジュニアと、サイレンスアローだってば!」
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