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カグヤドリームの2022は心配そうな顔をしながら、牧場の事務所を眺めていた。先ほどの声はオーナーの娘、柿崎つばめのものだ。グランパの重役や牧場スタッフには、変な名前を好む人間が多く苦戦しているのだろう。
カグヤドリームの2022は自分も事務所に乗り込もうとしたとき、見覚えのある牡馬が通りかかった。あれはドドドドドドドドド。
『お父さん!』
『どうした、ジュニア?』
『僕の名前が変なものになりそうなんだよ。ツバメお姉ちゃんを応援してくれない?』
そう頼まれると、ドドドは父親らしい顔で頷いた。
『わかった。お父さんに任せなさい!』
間もなく、ドドドは窓から事務所を睨むと精一杯嘶きだした。事務所のメンバーは驚いたのだろう。すっかり静まり返り、全員がドドドの姿を眺めている。
カメラマンは視線だけをオーナーに向けた。
「会長、あれは一体…」
「あれは、ドドドが何かを訴えているのでしょう」
「はぁ…なるほど」
数秒の沈黙の後、事務所からスタッフの声が聞こえてきた。
「そうだ。ドドドの息子なんだし…ここはシュバババババババなんてどうだろう?」
直後に、複数の人間が立ち上がる音が響いた。
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