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ツバメはやってくると、顔色を窺うようにカグヤドリームの2022を眺めた。
「ジュニア…君の名前だけど、シュバババババババでいい?」
カグヤドリームの2022はやっと顔を上げると、そこには不自然なほど爽やかな笑みがあった。まるで、不機嫌な彼の顔に、無理やり笑顔の仮面をつけたかのようだ。
その表情に、ドドドドドドドドドの全身からは汗が噴き出した。これは不味いと直感しているのだろう。
カグヤドリームの2022はゆっくりと口を開いた。
『もし僕が、お父さんの夢を叶えて東京ダービーで優勝すれば…ダービー馬シュバババババババになるんだね。それに、外国で好走した時も、その国のお茶の間にシュバババババババ』
ツバメの表情が見る見る青ざめた。
『香港に行くことがあったら駿馬馬馬馬馬馬馬…かな? レースみたいな名前でおもしろいけど、本当に大丈夫?』
その剣幕に、あとから駆け付けたスタッフも足を止めていた。
『それとも、僕はテレビで中継されるところまで…勝てないと思っているの?』
そう聞き返されると、スタッフの1人が叫んだ。
「そんなことはない! 駿馬だからシュバババババババなんだ!」
「がっつりテレビに出て、その名前を世界中に見せつけてやってくれ!!」
そう言われると、カグヤドリームの2022は小さくため息をついた。
『それなら短くシュバにして』
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