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この大人びた仔馬、カグヤドリームの2022は淡々と話をつづけた。
『ちなみに5番目に覚える言葉はバラバラで、友達や飼育員の名前だったり、食べ物だったりするんだよね。少し変わっていたのは蝶々。男の子と女の子で傾向が違うから調べてみるとおもしろいかもしれない』
ドドドは何とも言えない顔をしていた。とても生後4、5か月の仔馬が口にするセリフではないと思っているのだろう。
『好きにしなさい。少し水でも飲んで来る』
『行ってらっしゃい』
ドドドはため息をつきたくなったようだ。自分の子供が何を考えているのかよくわからない。この仔は誰に似たのだと言いたそうだ。
その直後にカグヤドリームの2022は身を大きく乗り出していた。何か面白いものを見つけたのだろうか。ドドドがそっとのぞき込むと、何やら馬の画像を眺めている。
『何を見ているのだ?』
そう尋ねられると、カグヤドリームの2022は慌てて画面を隠した。
『何でもない…何でもないよ!』
その動揺の仕方は普通ではない。ドドドがいぶかしい顔をしたまま画面に目をやると、そこには美しい葦毛の馬が映っていた。
『メシロマックリーン殿じゃないか』
『僕が牡馬にドキドキするなんて絶対にありえない。これにはきっと要因があるはず…この原因は僕がマンデーサイレンスの子孫だから、その血が悪さをした?』
その仔馬らしからぬ言葉にドドドは大きなため息を返した。
『小利口な馬になるくらいなら大馬鹿者になって欲しいな』
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