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カグヤドリームの2022が柵を潜っている間、ドドドは不安そうな顔をしていた。我が子は、その賢さゆえに周りが見えすぎてしまう。親バカと言われるかもしれないが、この仔には抜群の才能がある。あるのだから迷いなく優駿を目指してほしい。そう思っているようだ。
『ジュニアよ、さっきはみっともない姿を見せたが…私は現役時代には障害コースを飛ぶ練習も積んでいたのだ』
『もちろん知っているよ』
ドドドは表情を歪めた。息子がどこか諭すような目で自分を見ている。父さんの実力は十分に理解しているから無茶はやめてと言いたいのだろう。
このカグヤドリーム顔は、ドドドのプライドについた小さなヒビを広げた。
『よく見ていなさい!』
ドドドは勢いよく走り出した。カグヤドリームの2022は危ないと言わんばかりに表情を変えたが、ドドドの踏み込む場所は完璧だ。地面を蹴り上げる衝撃が足元を通じてカグヤドリームの2022にも伝わり、ドドドは天馬になったかのように軽やかに柵の上を飛んでいた。
そして、太陽の光がドドドの毛並みを輝かせた。栗色の馬体は金色に光り、折り曲げた4本の白い毛で覆われた脚を見て、カグヤドリームの2022は呟いた。
『この姿…麒麟!?』
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