第1話 この世界は美しくない

7/16
前へ
/16ページ
次へ
外を眺めるのを止めた伊織は、リビングに降りた。そこには既に哲雄の姿はなく、カフェに入った人たちの接客をしていると考えた。伊織は一階に降りると、そこには店の半分に客が入っており、哲雄は注文を聞いて急いで料理を作っていた。 「結構大忙しみたいだ……俺も手伝うか!」 伊織は手伝うと決め、料理を作っている哲雄に話しかける。 「おじさん! 俺も手伝うよ! 何すればいい?」 「な、何でお前がここに!? 手伝わなくていいから、上に行ってろ!」 「これからお世話になるんですから、これくらいさせてください!」 「お前……」 伊織のその言葉を聞いた哲雄は、負けたよと伊織に言う。そして、作り終えたオムライスを三番テーブルの人に渡してくれと言ってきた。 「分かりました!」 伊織はそう言い、オムライスを持って三番テーブルのテーブルに置いた。伊織は料理を置く際に、お待ちしましたと言い、置いた。 「ありがとう。 おじさんをあまり困らせるなよ」 そう言って料理置いたテーブルに座っていた、スーツを着ているサラリーマンの男が伊織に言う。 「ここのマスターの料理は美味しいからな。 君も後で食べてみるといいよ」 「あ、はい。 ありがとうございます」 「こっちも持って行ってくれー!」 「今行きまーす!」 伊織はそう言い、炒飯を指定されたテーブルに置いた。それから二時間手伝っていると、外が夕暮れになってきていた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加