0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまー! お腹空いたよー!」
「ちょっと待ってろ。 今オムライスを作ってるから」
「やった! 私オムライス大好き!」
そう言い彼女は伊織の隣に座った。持っていた通学鞄を自身の右隣の椅子に置くと、近くにあったポッドからコップに水を注いで一口飲んだ。
「おじいちゃん早く! お腹空いたー!」
何度も哲雄にお腹が空いたと言っていると、哲雄はオムライスを彼女の前に置いた。
「ほら愛奈、お前の好きなオムライスだ。 ゆっくり食べるといい」
愛奈と哲雄に呼ばれた女の子は、いただきまーすと言って勢いよく食べ始めた。伊織はその様子を見ていると、美味しそうに食べるな―と感心していた。
「そうだ。 前から言っていたこの家に住む男なんだが、お前の隣にいる男だぞ」
哲雄が伊織のことを愛奈に言うと、愛奈が口の中にオムライスを入れながら左隣にいる伊織を見つめていた。伊織は愛奈の方を向くと、笑顔でよろしくねと話しかけた。
「あなたが今日から一緒暮らす遠い親戚の人なんだ! 私は久遠寺愛奈よ。 よろしくね!」
「こちらこそよろしく! 俺は篁伊織って名前だよ」
「伊織君か! あ、確か今年から高校生だっけ? じゃあ先輩なんだ!」
「久遠寺さんは中学生なの?」
「うん! 四月から中学三年生! 今日は部活の陸上の練習帰り!」
そう言い愛奈はオムライスを食べ進めた。伊織は愛奈に先輩だけど、家族になるんだから敬語を使わなくていいよと言った。
最初のコメントを投稿しよう!