中学校

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 実琴は唇を尖らせそっぽを向いた。肯定だ。 「余計なお世話だよ」 「そう思っても姉としては放っておけないんですぅ」  なにが「ですぅ」だ。 「私は一人が寂しいなんて思ったことない」  一人が可哀相って思うのは人気者ならではの思い込みだ。憐れみだ。  私が睨むと、それに臆することなく実琴は言う。 「でもさ、なんでも一人で完結出来るのはだんだん難しくなってくるよ。皆仲良くとは言わんけどさ、コミュニケーションはとっておかないと」 「あーもう。わかったわかった」  突如始まる姉の説教に私は早めに折れておく。納得という名の降参。 「急にお姉ちゃんぽく諭すのやめてよ」 「姉はいつだって妹が心配なのさ」 「うざったい」 「悪態ついてるのも今のうちよ。実琴お姉様に感謝する日がいつか訪れるから」  実琴がわはは、と笑う。  まったくこの姉は気配りが出来るんだか出来ないんだか。  ……取り敢えず今度明野さんと円加さんとすれ違ったら挨拶くらいしておこう。  人からの厚意(チャンス)を無下にするほど私は冷徹な人間ではない。  思いやりだってちゃんとある。いや、打算というべきか。
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