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中学校
あれから月日が経ち、私たちは中学生になった。
くーちゃんは言っていた通り県外の進学校の葵坂付属中へ、私たち双子は小学校からすぐ隣の咲桜坂中学校へ進学した。
中学に入学して私はそれまで瓜二つにしていた実琴との容姿を変えた。
双子だから何もかも同じ、そういう概念を突き放すように。一人の個人として成立していると主張するように。
私は外見を変えることによって実琴との差別化を図った。
しかし、その差別化は良くない意味で発揮された。
運動も勉強も出来て明るい性格の双子の姉と学力も運動神経も人並み以下で性格も気弱な双子の妹。
極端に言えば、スペックの高い姉とスペックの低い妹。
私たちのことを周囲の人間はこう揶揄した。
“出来る方”と“出来ない方”と。
容姿が似ていて中身が違うと、より二人の優劣が浮き彫りにされる。
いっそ外見も中身も同じだったら比べられる必要もなかったのに。
私は長く伸ばした髪を二つのお下げに。実琴は高い位置でくくったポニーテールにした。
溌剌とした姉と大人しく控えめな妹という認識が見事に完成した。
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