一夜の過ち

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 しばらく経つと課長は席から居なくなっており、部署内も静かになってきた。隣の席にそろっと戻る咲。 「ね、絵里子…あれはめっちゃイケメンだった…。女どもが群がる群がる。でもね、残念なこと見つけたの。」 「……残念なこと?」 ふとパソコンの手が止まってしまった。 「うん……それがね左手の薬指にちゃっかり 指輪してたの。 みんなが言うには既婚者なんだって〜。 つまらないね……」 「いやいや、咲さん……あなたって人は……。」 「ジョーダンよジョーダン。」 咲は笑って流している。 まぁ咲はこういうキャラクターだけど 割と一途だから心配してないだよね。 水島課長結婚してるんだ。 仕事もできてあのビジュアルじゃ当たり前か。 ……私には関係ないけどね。 「……私って結婚できるのかな。」 「おーい。絵里子さん、自分の世界に入ったのはいいけど切実な悩み口に出さないで。」 「へっ?!私喋ってた?」 「ふふっ……ガッツリ聞こえましたよっと。 私から見ても、これだけは言えるよ? あんた可愛いから自信持ちなさいよ。 渉だってそう思ってるのよ!」 「えっ?関野くんがまさか……」 「はっ?!ちょっと沢城何言ってるんだよ!」 「ちょっとやめてよ。 関野くん冗談上手いよね。 あー仕事仕事。私、残業したくないから」 パソコンに取り掛かる絵里子。 「ちょっと重症よね。絵里子ってば」 「まぁ……それが高崎っぽいところではあるけど。流石にああ言われるとくるものあるな。」 「だね……本当、渉ってばすごいわ。」 「なんか、褒められてる気がしない…。」 隣の咲と渉は小さい声で会話するが 絵里子には聞こえていないようだった。
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