一夜の過ち

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ーーーーーー時は遡る。  ここは化粧品を主に扱う中堅企業の営業部企画販売部門。商品の販売に向けて様々な宣伝等の企画を行い営業部門と連携を取りつつ製品を販売促進していく部署である。割と人数もいる方ではあるが新製品ができる時期になるとかなりの業務量となり残業も多くなる。 そんな部署に務めるのは 独身29歳アラサー女子 高崎絵里子(たかさきえりこ) 「ね、ね〜絵里子!今日こそ合コン行かない? めちゃくちゃかっこいい人いるんだって」 絵里子の隣で肘付きながら話しかけてくるのは 同期の沢城咲(さわしろさき) 「咲は好きだよね…私は行きたくない。 合コン行って、話せる自信ないし。」 絵里子は咲の話を聞く気もないのかパソコン への作業に集中している。 「いつもの台詞じゃんか〜。 私はさ絵里子にチャンスを与えているんですよ? だってあと1年しかないんだよ…三十路まで。 少しは感謝をしなさい! この、この〜」 咲はパソコンへ集中している絵里子の頬をつつく。 「ちょっと…チャンスなんていいの。 とにかく合コンなんて場は私にはハードル高いから。 咲は優しくてかっこい彼氏がいるんだから 合コンなんて辞めなよね。バレたら大変だよ?」 「大丈夫!大丈夫! 彼氏に了承ちゃんともらってるから。」 「もう、こんな自由な女を放し飼いする 咲の彼氏はどういう人なのか 確認したいわ〜」 「何よそれ! ま、私たちはもうそろそろゴールだしね。 絵里子もさ、一歩前進しようよ。ね!ね!」 咲は彼氏と婚約していて 籍を入れる時期を考えていると言っていた。 私一回も会ったことはないけれど こんな心優しい彼氏とはどんな男性だか1度は会ってみたいと思っていた。 「分かった分かった!……今回はとりあえずパス! 気が向いたらね。」 「いつもそれ。」 咲と笑う絵里子 「ん? 高崎、何話ししてるの?」 前のパソコンからひょっこり顔を出す男性。 この人は 同期で関野 渉(せきのわたる)29歳 企画販売部門主任 人懐こくて、仕事もでき この部署でもかなり頼りにされてる 「えっ…………」 いきなり声掛けられたから存在に気づいておらず びっくりした絵里子。 「わたるんにはカンケーないよね?」 「うんうん全然関係ない!!」 「そんなに全力で否定しなくたって……なんだよ。俺は仲間はずれか…」 明らかにしょんぼりする 「そ、そう言うわけじゃないんだけど…」 ほんとに関野くんは上手 こういう時の表情とか… 全然興味ないだろうに 「てかさ、なになに? わたるんは合コンって興味ある人なの?」 そんな態度も軽くスルーする咲。 ナイス!咲!私ならあわあわして スルーなんてできない…… 「うーん……興味は正直ない!」 「何それっ!モテる男のセリフは憎いねぇ」 「いやいやさ、俺モテてないからね?勘違いしない。 合コンとかに来る女性はだいたい 自分を隠してくるじゃんか… なんか、そういうの苦手なんだわ。」 「……何わたるん。 その普通でカッコいい台詞… でもさ〜合コンってそんなもんだよ。初めて会う人達に好印象持って欲しいのは当たり前だしね。 そんなこと言えるのイケメンだ からだよ……」 咲は関野の言葉にこれ以上何も言えなくなった 関野くんはうちの部署でもかなりのイケメンで 女子の人気も高い。 彼と関わりたい女子たちが理由をつけて 毎日この部署に顔を出す。 「正直に言っただけだから!」 と笑い流す渉。 そんなことを話していると早速営業部門の社員が来る。 「関野さん、すみません。忙しい時に…この件なのですが」 「いえいえ。あ、そうですね。それでここを追加して……」 私たちと同時期同年代、経験歴も同じなのに(わたる)はかなり仕事ができ、同期でも1番早く昇任しているエリート。 183cmの高身長で茶色がかかったふんわり短髪。体つきが筋肉質の割に厳つい雰囲気は全くなく、タレ目で優しい雰囲気をしているイケメン。 常に笑顔で人と接していて どの部署からも人気が高い。 関野は違う部署のスタッフと話を終えると 高崎の方を見た。 「ね!ね!高崎、聞いてる?」 目の前の高崎はパソコンに、集中していた。 最近忙しくてゆっくりできてないから 今日こそ早く帰ってお風呂でもゆっくり入りたいなぁ… 「ね…高崎、無視?」 「わたるん…ドンマイすぎる」 「高崎って結構酷いよね」 目の前にいる渉や咲の声は聞こえていないかのように 作業に取り掛かってる絵里子。 夕飯何しようかな……今はそれどころじゃないか 任されてる仕事終わらさないと 帰れないよ… 「た か さ き〜」 「へっ?!な、何?? ごめん!いま集中しちゃって…」 渉がもう一度呼んだら気づいた絵里子。 その様子を隣で咲が良かったねといった視線を渉に向けた。 「高崎って仕事好きだよな。」 「…うーん、好きというより、やらなきゃ的な?」 「あはは!まぁそれもあるよな!」 そんな会話をしていると急に 周りがざわついてきた。 ちょーイケメン!何あの人! 目の保養だよね〜 キャッキャ女子が騒いでる様子 「あ!そういえば今日新しい課長来るって言ってたよな?」 と思い出したかのように渉が話す。 「あっ……そんな話前してたね。最近忙しくて全然忘れてた。」 「みんなかっこいいって噂してるね!え!どんな感じなタイプかな~ハードル上げすぎて気分落ちたりしないよね?」 咲がキラキラした目で話す。 「ね……。」 男の人って、なんだか苦手。話そうとすると緊張しちゃって…… 特にカッコいいってなると1歩引いてしまう 関野くんもいるけど同期だし今までの苦労を共にしてきたから苦手意識はそこまでないかなぁ。
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