Fiction 0. Sample

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そんな青柳さんと私が初めて接点を持ったのは、三回生の夏。ちょうど、今日みたいに太陽が照りつけた、身体中の水分を奪われてしまいそうなくらいに暑い日だった。 その日、ゼミで課題発表をする予定になっていた私は、少し早めに大学に来ていた。 茹るような外の暑さとは打って変わって、羽織るものが一枚必要なくらい涼しい学内の印刷室で、準備してきた資料を印刷する。 あまりにも温度差のある冷房の風に当てられたのか、昨日食べたものでも悪かったのか。資料を印刷している途中から、お腹がキリキリと痛み始めた。 ときどき服の上からお腹をさすったり、しゃがんで少しの時間蹲ってみたりして、お腹の痛みを紛らわせる。 だけど継続的に襲ってくる腹痛が治ることはなく、資料を持って教授の研究室のドアの前までやってきたときには、その痛みはピークに達していた。 あぁ、これはヤバいな。 なんだか胸焼けがして、腹痛に加えて吐き気までする。
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