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「ねぇ、わかってるかな?本当は美織のことをずっと夢の中に閉じ込めて、独占したいくらいなんだよ?だけど、君自身が壊れてしまうのは、俺の本意じゃない」
穂高さんがそう言って、キャンディーを摘んで私の唇に押し付ける。ぎゅっと唇を閉ざして、それを受け入れることを拒んでいると、穂高さんが憂いを帯びた目で私を見つめて微笑んだ。
「愛してるよ、美織。いつか俺が君の記憶から消えてしまっても、ずっと」
穂高さんの優しい声が耳に届き、ほんの一瞬だけ私の気が緩む。
そのタイミングを待っていたかのように、穂高さんがキャンディーの上から唇を重ね合わせてきた。
舌で強引にキャンディーを押し込まれて、糖分過多のミルクの味がじわじわと口内に広がっていく。
舌の熱であっという間に溶けていくキャンディーの味は、胸焼けがしそうに甘くて、何故かとても懐かしかった。
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