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「愛の光の前では、人の実体は無に等しいものだ。だから、影も幻と同じだ」
京太郎がいきなり哲学的なことを言い始めて、全員困ってしまう。
ここは、演劇部ではなかったのか?いつ、哲学部になったんだ?
人の実体よりも舞台稽古だろ。そう思っても、京太郎の真剣な表情の前に誰も指摘できなかった。
周りの沈黙を、自分への賛同と解釈した京太郎の言葉は乗ってきた。
「人の本質は魂だ。魂の力こそが人のすべてを輝かせて、周りに光をもたらすのだ。それが揺らめいて陽炎となっているのだ。
その輝きを人は実体と思い込んでいるだけだ。だから、影は所詮、人の通ってきた足跡に過ぎない」
まだ延々と続いているが、誰か止めてくれ~いつになったら舞台は始まるんだ?
正直、哲学なら別なところで言ってくれ、と演説を聞かされている皆は思った。
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