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「ほら、コレ。
食いたかったんだろ、何か栗のク……ケーキ。
やるよ」
「モンブラン、だよ」
「おお、そういやそんな名前だった」
オレは小さくて白い紙箱を少女に押しやった。
少女は「ありがとう」と言って受け取り、箱を開けていっそう顔を輝かせてオレを見上げた。
そんなキラキラした顔で見るなっつーの。
仕事、しづらいだろうが。
……なんて、言えるはずもなく。
「ゆっくり食えよ」
ガキを相手にした経験なんてほとんどないから、適当に無難なことを言って時間を稼ぐ。
少女がすぐに夢中になってケーキを食べ始めたのでホッとした。
食い終わるまで一服しようかと内ポケットに手を入れてから思い直す。
たしかガキの前でタバコって吸っちゃいけないんだよな。
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