15人が本棚に入れています
本棚に追加
ハイ、回想シーン入りまーす
オレはその日の22時10分前、あるアパートの裏にバイクを止めた。
久しぶりに来たスラムは、笑っちまうほど臭ぇ。
公衆便所みてぇな臭いがするのに、どこにも便所が見当たらないなんてホラーだろ。
ハトとハトじゃない何かのクソにまみれたクソ外階段を上がり、三階にある部屋の窓を開けて言った。
「ちわー、ラストサパー・デリバリーでっす」
そこは物置みたいに小さな寝室で、ママゴトみたいに小さなベッドと、豆電球のランプが乗ったサイドテーブルがあるだけだった。
ベッドでは……うーん、ガキの年齢はよくわからんが、10歳くらいの少女が目ん玉をまん丸にしてオレを見上げていた。
クソッタレ!
子供かよ、よりによって!
上司の野郎のクビを全身全霊で締めたい欲求に駆られたが、返り討ちにあうだけだと考え直して冷静さを取り戻す。
よくよく思い出してみれば、朝渡された指示書にはターゲットの年も書いてあったに違いないんだ。
確認不足とはいえ、心の準備ができていなかったせいで動揺しちまった。
最初のコメントを投稿しよう!