ただの、それに意味は無い

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足を前に出せば前に進む それの繰り返しだけで目的地に着く。 手を前に出して手のひらを物に乗せ 指を曲げれば物が掴める。 五体満足で生まれてきた私の当たり前だ。 「ティロリン」 スマホの目覚ましが頼りなく、しかし、習慣づいた頭にはよく聞く音で目をさます。頭の中が一回転して、あぁ仕事だと理解する。 「はぁ」 一つため息をつき、当たり前のように空腹をうったえる自分は必然的にご飯を食べる。 人間は生まれたその日から生きることを課せられる。人にとっては喜び人にとっては苦しみになる。私にとったら、よくわからない。楽しいとも苦しいともおもわない。ただ生きにくいのかもしれない。 外の光が窓からさしてきて眩しさを感じつつ重たいからだを起こす。 「さてと」 朝ごはんはシリアルと牛乳をかきこみ、少しだけ惚けてから準備をし、仕事へ行く。 繰り返し生きることに必要な事をこなしていく。ある程度趣味もある、家族も仲がいい。しかしどうも昔から生きたくないのだ。行きたくないのだ、活きたくないのだ、なんで?どこへ?どうして?考えても陰鬱な気持ちはずっとお腹の底に抱えるしかないのだ。 ちらりと時計をみて、7:45あぁ会社へ行かなければ。立ち上がり、カバンをもって、靴を履き、ドアノブに手をかける。 この行為をやらなくてもやったとしても明日はくるし、なるようにしかならないことを知っている。だからこそ、とりあえず、繰り返しの行動を受け入れる。 右足、左足、右足、左足前へ前へ 一通り仕事をこなし、同じようで同じでない日々のページをひたすらめくっていく。生まれた時点でもうすでに、その運命は決まってる。死ぬことは罪。 かといって、死ぬ理由も、息を止めて死のうとしても結局は息を吸う。 そんなものだ。 帰路 街頭は明るく恐ろしいと思う心は特にない。疲労を全身に纏い、自宅のドアの前に立って、鍵を回しドアノブに手をかけ、ドアを開ける。廊下の電気をつけ、 右足、左足、右足、左足と前に出し、ソファーへと向かい、一気に寝転ぶ、テーブルにあるリモコンに手を伸ばし、リビングの電気をつける。天井を見て一息をつく。 「はぁ」 溜息に呼応したかのように、それは目から頬へそして、リビングの床におちた。 ただ、それだけのこと、それが落ちようがなにも変わらない。 ただ 「疲れた」 それだけだ。
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